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世界最大コーシャ見本市「コーシャフェスト2017」出展リポート

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  コーシャジャパン株式会社

今年もコーシャ市場に日本産食品をアピール

★2017年11月14、15日 / 於:米国ニュージャージー州セコーカス Meadowlands Exposition Center

冬の訪れも近いサンクスギビングデーを間近に控えた11月中旬、ニューヨーク中心部マンハッタンからほど近いニュージャージー州セコーカスのMeadowlands Exposition Centerで行われた恒例の世界最大のコーシャ・ビジネス見本市「コーシャフェスト Kosherfest 2017」に、コーシャジャパン株式会社が昨年に続いて今年も出展いたしました。

コーシャジャパンのブースには、ラビ・ビンヨミンをはじめとするスタッフと、コーシャ認定を受けた日本の酒造、種麹・総合微生物スターター、米製品などのメーカー様社員、日本産食品の拡販を応援する地元のラビらが集ってチームとなり、2日間にわたって、品質の高い日本産食品を世界のコーシャ市場に広くアピールしてきました。


【目次】
  ■今年のコーシャフェスト、来訪者の日本産食品への反応は?

   「世界一の長寿国」日本の知られざる伝統食品にバイヤーから熱い視線

  コーシャフェスト2017の全容
   ベジタリアンやビーガン対応の商品も

  ホワイトハウスを顧客とする大手ケータリング会社にセールス訪問
   ラビが直接説明することで、いっそうの興味を

  ニューヨーク市立大学ブルックリン校で日本の「麹」の講義を初開講
   「和食こそ世界一の健康食」であると理解したアメリカ人

  ニューヨーク市内のコーシャ・レストラン、グルテンフリー商品を視察
   あらゆる人々への対応をアピールする多業態な「コーシャ・レストラン」
   コーシャマークで相乗効果を狙うグルテンフリー商品

→参照:コーシャフェスト2016の出展リポート

今年のコーシャフェスト、来訪者の日本産食品への反応は?

「世界一の長寿国」日本の知られざる伝統食品にバイヤーから熱い視線

業者向けの見本市であるコーシャフェストでは、会場入り口で配布されるマップ&リストを持って自分の興味あるブースを効率よくまわる人が少なくありません。そのため、コーシャジャパンのブースにも最初から日本食品に興味があって訪れるお客様がいらっしゃって、「仕入れの最小ロット数はどれくらいか」など、かなり具体的な質問をいただいたりしました。

やはりみなさん注目されるのは、「世界一の長寿国」日本の伝統食品です。

とりわけ、これまで欧米で紹介されていなかった未知の食品の発掘を求めて訪れる、熱心なバイヤーのお客様も。また今年は、TPPやEPAの協定締結後を想定してのことなのか、アメリカよりも、カナダやオーストラリア、ヨーロッパなどからのお客様が多く来られた印象があります。「ビジネスは早い者勝ち」というわけです。

もっとも人気のあった商品は世界的ブームの「日本酒」。非売品のサンプルをどうしても欲しいと購入されたお客様もおりました。

また、今回初出展した日本の「麹」は、日本人の健康と長生きの秘密ということで、専門家の方から関心を持っていただきました。今回スタッフには、日本酒にほれ込み青森で杜氏の修行中のユダヤ系アメリカ人青年も加わり、日本酒や米麹の世界について熱く語るシーンも見られました。

一方、流れでブースに来られるお客様は、試食品やパンフレットを求められ、商品のラベルへの感想や「こうしたらいいのに」「こんな商品があったらいいのに」と率直な意見を残してくださる方もいました。これらのアドバイスも非常に参考になりました。

ブースは、外国人の方々にもわかりやすく、富士山やのれん、提灯、はっぴ、着物など日本を連想させるデコレーションや服装でお客様をお迎えしました。他のアメリカらしくショーアップされた華やかなブースの数々から見ると多少、地味かもしれませんが、”異色”という意味ではなかなか目立っていたのではないかと思います。

特に、ラビたちが率先して、日本食品の優位性を訪問者にヘブライ語でていねいに説明してくれたことが、功を奏した感じがします。コーシャ認証マークには、その国の農業や食品事情に精通しているラビの信頼度が重視されるからです。


↑小麦粉のパスタと見た目がそっくりなきれいな色のグルテンフリー米粉パスタや、米粉ペースト、日本酒、海苔、緑茶、麹などのサンプルを展示。「どこで買えるのか」と関心を示してくださったお客様も。


↑初出展の日本の「麹」を訪問者に説明する、種麹・総合微生物スターターメーカー・秋田今野商店の今野宏社長。

コーシャフェスト2017の全容

ベジタリアンやビーガン対応の商品も

コーシャフェストに出品される商品は、ユダヤ教徒向けのマッツァ(過ぎ越しの祭りの時に食べる種無しパン)といった宗教色の強い食品のほか、ワインやパン、お菓子、加工肉、スナック、製造機など多岐にわたります。ユダヤ教徒といえアメリカ人なので体格のいい方も多く、スイーツや炭水化物類の量の多さもアメリカンスタイル。

一方で、健康や、「自分が何を食べているのか」といった倫理性に気遣って、宗教上の理由以外でコーシャと併せてベジタリアンやビーガンなどの食事を実践する人々も少なくありません。

健康を気にする人とまったく気にしない人、その格差は日本人の目からすると極端にも思えます。会場にはビーガンの表示を掲示する商品やブースもちらほら見られました。

韓国ブースは面積を縮小したものの、昨年同様、健康志向に訴求して野菜を発酵させた漬物であるキムチなどを展示しておりました。ユダヤ教徒にキムチは意外ですが、これはなかなか成功しているようです。

生き馬の目を抜くニューヨークで、バイヤーがつねに世界中の真新しい売れ筋食品を探している、という動向がこんな点からも垣間見られるかと思います。


↑コーシャフェストの会場ニュージャージー州セコーカスのMeadowlands Exposition Centerの周辺。マリオットやホリデイインなどのホテル群、ショッピングセンターが集まった、千葉の幕張メッセを小さくしたような商業地区。


↑2日間の開催中には、世界各地からコーシャを扱う大勢の業者やバイヤー、プレス関係者ら食品のプロが訪れる。今年は1日目の方が訪問者が多かった。


↑軍関係者とおぼしき人々も。米国では政府の組織や、会議後のレセプションなどの食事にコーシャを配慮した食品が行きわたっている。


↑アルコールの禁忌がないユダヤ教徒には、お酒が大好きな人々も多い。ワインが中心だが、コーシャ認証を受けたウォッカやウィスキー、日本酒も人気。


↑過ぎ越しの祭り(passover)の時に食べる種無しパンのマッツァ。ユダヤ教徒にとってはなじみ深い食品で、チョコレートなどを塗ったりした商品も販売されている。


↑サンクスギビングデーに欠かせない七面鳥。こちらは加工品。


↑韓国の食品メーカーのブース。コーシャ認証を取得したキムチを展示。


↑こちらは中華系の調味料。実演で中華料理を提供。

ホワイトハウスを顧客とする大手ケータリング会社にセールス訪問

ラビが直接説明することで、いっそうの興味を

コーシャジャパンではコーシャフェストへの出展だけでなく、米国滞在中にラビを伴って弊社でコーシャ認証を受けた商品のセールス訪問を行ないました。

まずは、ワシントンのホワイトハウスを顧客に持つニューヨークの大手ケータリング会社「Great Performances」社へ、日本産グルテンフリーの米粉パスタや、砂糖不使用の甘酒などを持参し、バイヤーの方に日本古来の健康食品としての優位性を説明、試食・試飲をしていただきました。

ここでも、ラビ自らが商品を手に取って語りかけたことが大きく働いたようで、大変興味を持っていただけました。

アメリカの食品市場は巨大ですが、日本食品を売るためのターゲットとなるべきは、ヘルシー志向の特性から「高級食品市場」に限ってもよいように思います。規模が大きなだけでは商品が埋もれてしまいますし、セールスに赴く会社もその方面に的を絞った方が効率的です。

かといって必ずしも価格を高額に設定すればいいわけではなく、たとえば手ごろな普及品とワンランク上の高級品の2タイプの商品を用意したりする工夫が、購買層を広げるには理想的ではないでしょうか。

ニューヨーク市立大学ブルックリン校で日本の「麹」の講義を初開講

「和食こそ世界一の健康食」であると理解したアメリカ人

一方、アカデミックな場で日本食品の優れた点を発表すべく、秋田今野商店代表で農学博士の今野さんが、ニューヨーク市立大学ブルックリン校の栄養科学の授業にゲスト講師として招かれ、学生さんや教授たちに向けて日本の麹について英語による講義を行いました。

日本の麹については、意外にも海外の大学でこれまで講義されたことがほとんどなかったそうです。

単に平均寿命を比べると、世界1位の日本に対してアメリカは31位と、先進国の中では最下位に近い位置にあります(2016年調べ)。もちろん国の医療システムの違いもありますが、肥満がその原因のひとつともいわれます。

一方で、PRESIDENT Onlineによると、「食生活の改善も進められ、アメリカ人は「和食こそ世界一の健康食」であることを理解し、ふだんの食生活でも米や豆腐・味噌などの豆製品、魚介類を多くとるようになった。その結果、2011年には1977年に比べて心筋梗塞による死亡数が58%、ガンによる死亡数が17%も減少した。先進国のG7加盟国としては、唯一ガン死亡者が減っている国でもある」という実績データも発表されています。

麹には、食物の栄養を分解して消化・吸収を助ける役割や、吸収された栄養分をエネルギーに変える多くの酵素が含まれています。特に、味噌にがん予防の効果があるといわれることから、味噌を含む多くの日本の伝統食品に含まれる麹に関心を持ち、講義後に今野博士のところへ質問に来られる熱心な学生さんが何人もおられたのが印象的でした。


ラビ・ビンヨミンと今野博士。

ニューヨーク市内のコーシャ・レストラン、グルテンフリー商品を視察

コーシャフェスト終了後にはニューヨーク市内に移動し、コーシャ・レストランや、オーガニック、グルテンフリー商品を視察しました。

あらゆる人々への対応をアピールする多業態な「コーシャ・レストラン」

アメリカの大都市では食の多様化とともに、コーシャ認証を取得したレストランが和食、中華料理、インド料理など驚くほど多業態にわたっているのは、昨年の視察時にも感じたことでした。

レストラン側としては、単にユダヤ教徒からの需要があるだけでなく、競争の激しいニューヨークのレストラン業界で「食材に気遣い、あらゆる人々に対応している」アピールから、他店との差別化を図れるメリットがあるのではないかと推測します。

訪問した南インド料理レストランでは、店内にもヘブライ語の表示を出すなどの気配りを感じました。また日本からニューヨークに出店したユダヤ系アメリカ人オーナーによるラーメンショップ「Ivan Ramen(アイバンラーメン)」では、鶏だしで作ったコーシャ・ラーメンを提供しており、ユダヤ教徒以外のニューヨーカーからも支持を得ていました。

他に寿司などのコーシャ・レストランもあり、来訪外国人観光客対応として日本でも参考にできるのではないでしょうか。


↑レストランの入り口に貼られたコーシャ認証書。


↑マンハッタンの高級住宅街マレーヒルのインド料理店街にあるコーシャのベジタリアン向け南インド料理レストラン「Saravanaa Bhavan」。インド本国など世界各地にチェーン店を持つ。食材の品質への考慮を着目され、ユダヤ教徒以外のインド系ら健康に気遣うお客もやって来る。普通に食べておいしい南インド料理。


↑クイーンズのブハラ(ウズベキスタンなど中央アジア)・ユダヤ系移民が住む町で見つけたGlatt Kosher(ユダヤ教ハシディズム派の厳しい食戒律にのっとって調理された)の寿司と中華料理レストラン。


↑「Ivan Ramen(アイバンラーメン)」は東京世田谷区の芦花公園にあったユダヤ系アメリカ人のアイバン・オルキン氏がオーナーシェフを務めるラーメン店。ニューヨークに移転して大ヒット。本も販売されている。

コーシャマークで相乗効果を狙うグルテンフリー商品

一方、コーシャ認定食品には、オーガニックや非遺伝子組み換え(non GMO)、グルテンフリーなどの認証を一緒に付けた商品が少なくありません。大量消費社会の中で、アメリカでの食の安全への関心、体質改善や健康志向が根付いている実証ともいえそうです。

コーシャマークは、多数の競合商品から消費者が購入を選択する後押しとして威力を発揮します(逆に、率直にいえば、他が真似できないような個性的な大衆向け商品には必ずしもコーシャ認証が必要でないケースもあると思います)。

今回はグルテンフリー食品の専門店を訪ね、売れ筋商品などをインタビューしました。訪れたのはマンハッタンの高級住宅地アッパーウエストサイドにある「G-Free NYC」。7年前にオープンしたそうで、パンやパスタからお菓子などの幅広い商品を扱っておりました。

売れ筋は、パスタ、麺類、クッキーなど。「Whole Foods」などのオーガニック食材店などと同様、パンやピザ類は冷蔵、冷凍品コーナーで販売されており、米粉ととうもろこし粉を混ぜた商品が中心でした。

アメリカでも米粉自体やアジア風の麺(主にもともと米粉文化のある東南アジアのタイで製造)は販売されていますが、キリスト教徒やユダヤ教徒の多い欧米では、聖書に登場する小麦や、小麦粉を使った主食に古くから圧倒的ななじみがあり、100~150人に1人といわれるグルテン不耐症のセリアック病患者や、アレルギー患者対応のグルテンフリー食品は、セールス全体の中ではまだまだ少数派です。

特に、敬虔なユダヤ教徒は小麦を聖なる食べ物と考えているので、加工品(特にパン)として販売する場合はそのあたりに配慮を要します。

一方、コーンブレッドなどは別として、小麦粉の代用としてのとうもろこし粉は概して食味があまりよくないため、小麦粉やパスタなど小麦粉製品に近いテクスチャーを再現した米粉のみによるグルテンフリー商品には開発の余地があるのではないかと思います。

米粉、とうもろこし粉以外には、アマランサスやソルガム、キヌアといったアフリカや南米の雑穀を含有した粉がグルテンフリー商品として加工されており、これらは栄養豊富な健康食品としても認識されているので、相乗効果が期待されて人気があるようです。

アメリカのマーケットではほとんど見かけませんでしたが、大豆をはじめとする豆粉も、雑穀と同様に健康指向の消費者に訴えかける魅力があるように思います。

以上をまとめると、米粉にしろ大豆粉にしろ、海外に出ると日本人には日本ならではの食品に需要が寄せられますので、そのあたりをふまえてリサーチしながら海外向け商品開発をしていくと将来性を見込めるのではないかと思います。

そして、味にこだわる日本人ならではの味覚センスを発揮させることです。アメリカでヒットした「柿の種」などがその好例といえるでしょう。


↑アメリカのグルメスーパーには必ずといっていいほどグルテンフリー食品のコーナーが設けられている。冷蔵品としてまとめられている店舗も。上記は自然食やオーガニック、グルメフードを扱うスーパーマーケット・チェーン「Whole Foods」。


↑マンハッタンの高級住宅街のひとつアッパーウエストサイドにあるグルテンフリー食品の専門店「G-Free NYC」。ただし、グルテンフリー食品の専門店はニューヨーク市内にも数えるほどしかない。


↑こちらはグランドセントラル駅構内にあるフランス発のグルテンフリーのパンショップ「Nogulu」。


↑アメリカで販売されているきめの細かいグルテンフリーの粉類。米粉のほか、米粉ととうもろこし粉を混ぜたものや、じゃがいものでんぷんなどさまざまな種類が販売されている。値段は高価。


↑こちらはとうもろこし粉100%のイタリア産グルテンフリー・パスタ。見た目は小麦粉のパスタと遜色ないが、食味に改善の余地あり。コーシャ認証マーク付き。


↑日本のうどんやそうめんのようなスタイルで販売されているタイ製の米粉ヌードル。米粉麺はもともとタイやベトナムなど東南アジアが本場であり、ラーメン店でもグルテンフリー対応でこれらの麺が使われることがある。


↑玄米にアマランサスやソルガム、キヌアなどの雑穀を混ぜたグルテンフリーのクラッカー。グルテンフリーとコーシャ認証を取得している。食味がよく、「古代の穀物」というキャッチフレーズが、単にグルテンを摂取できない人だけでなくヘルシー志向の消費者の購買意欲もそそるものになっていて、興味深い。

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世界最大のコーシャ見本市にコーシャジャパンが初出展

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★2016年11月15、16日 / 於:米国ニュージャージー州セコーカス Meadowlands Exposition Center

大統領選を終え、サンクスギビングデーを間近に控えた11月中旬、ニューヨーク中心部マンハッタンからほど近いニュージャージー州セコーカスのMeadowlands Exposition Centerで行われた、毎年恒例の世界最大のコーシャ・ビジネスの見本市「コーシャフェスト2016」に、コーシャジャパン株式会社が初出展。

「コーシャ認証」を得た品質の高い日本産食品を世界市場にアピールして、おかげさまで大きな反響を得ることができました。以下がその報告です。


【目次】
コーシャフードとは?
  コーシャジャパンの展示ブースで日本産食品を広くアピール
  試食の海苔巻き、日本酒・焼酎が大好評
  ユダヤ教徒はお酒が大好き
  今後の課題:日本の地方の優れた伝統食品を世界に

コーシャフェストの所見
  今年のコーシャフェストについて
  アジア諸国のコーシャ市場進出

米国市場をフィールドワーク
  ウォルマート 膨大な商品から安全な食品を選ぶ目印「コーシャ認証」
  多様化するニューヨークのコーシャ・レストラン
  ニューヨークに進出する意義 山口県の日本酒「獺祭」の軌跡

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コーシャフードとは?

「コーシャ(カシュルート、コシェルとも)」フードとは、イスラム教徒のハラールフードのように、ユダヤ教徒が食べてもよいとされる「清浄な食品」のこと。ユダヤ教の聖典には食べてもよい食品、食べてはいけない食品が記されており、敬虔なユダヤ教徒は、5000年前の昔からその規律を厳格に守って生活しています。

ユダヤ教徒の人口は、全世界で1400万人ほどとイスラム教徒に比べてはるかに少ないのですが、10億人以上を擁する欧米を中心にした市場では、ユダヤ教のラビ(聖職者)による厳正な審査に合格した「コーシャ認証」マークが、宗教に関係なく日本でいう「JASマーク」のような、商品品質のお墨付き的な存在になっています。

これは、コーシャがオーガニックなどと同様に、高品質で安心でき、地球環境に配慮した「エシカルフード Ethical Food」のひとつとして注目され、欧米を中心にした「意識の高い」消費者が食品を選ぶ目安にしているためです。

ユダヤ教の長い伝統が育んだ良質な食材と、おいしさ、自然を大切にしたナチュラルさが商品のイメージアップとなり、「コーシャ認証」マークがついていると売り上げが倍増するともいわれています。そのため、多くの世界的な食品会社がこぞって自社商品のコーシャ認証を取得し、商品にマークを付けています。

コーシャは、2020年までに世界市場で2500億ドル規模の急成長が見込めるとも試算されています。

そして、新しいコーシャ認証商品は、販路開拓のためにも見本市への出展が不可欠なのです。

コーシャジャパンの展示ブースで日本産食品を広くアピール

今回のコーシャフェストでは、コーシャジャパンは、会場の入口に近い好条件の場所にブースを確保することができ、会場で配布されたパンフレット(上写真)に「日本パビリオン」として掲載され、日本代表としてコーシャ認証を受けた日本産食品を広くアピールすることができました。

ブースでは、日本人スタッフ(試食品シェフ、商品説明担当)と、ユダヤ人スタッフ(来日経験があり、日本食に造詣の深いコーシャ専門のラビら)の計8名のチームで顧客の対応に当たりました。


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試食の海苔巻き、日本酒・焼酎が大好評

展示品は、日本酒(花の香酒造様、山口県・旭酒造様「獺祭」)、焼酎(JP酒販様「もったいない」)、日本茶(古賀煎茶本舗様)、海苔(山本海苔店様)、冷凍焼きいも。試食品コーナーには、コーシャ認証を受けた日本産あきたこまちと、野菜、ユダヤ教徒になじみの深い食材タヒニ(ごまペースト)を使ったベジタリアンの海苔巻きを用意し、日本茶、日本酒、焼酎と一緒に試食していただきました。

また、自然な甘さの焼きいもも、デザートのようにして召し上がっていただきました。

日本茶(グリーンティー)は米国ではまだそれほど知名度が高くないようで、「これは何ですか?」と聞かれることが多かったのですが、海苔巻きは「スシだ!」と、多くの方を見た目で引き付けることができました。

海苔巻きと日本茶、日本酒・焼酎をセットに楽しんでいただく提案を心がけたのですが、海苔巻きはすぐなくなってしまうため常に補充が必要な状況で、2日間でおよそ500食を作った計算になります。

オバマ大統領時代の国民の医療保険料の負担増や、食の安全性への関心から、米国は空前の健康ブームに沸いています。ヘルシーだと広く認識されている日本食は注目度も高く、さらに「グルテンフリー」であることも有利に働いたようです。

「ナチュラルでおいしく、高品質」といったコーシャのイメージと日本食は、相性もよいように思います。

魚を使わない野菜だけの海苔巻きは、ユダヤ教徒の方々にも安心して食べていただけることをアピールできました。米国で出回っている中国産の海苔との品質の違い、また日本産のもっちりとしたお米のおいしさをほめてくださる方もおりました。

ユダヤ教徒はお酒が大好き

そして、それにも増して熱気を感じたのは、日本酒、焼酎コーナーです。これは飲酒を禁じているイスラム教のハラール市場との大きな違いでもありました。

会場内ではワイン会社コーナーもかなり充実していて、ユダヤ教徒は、宗派に関係なくお酒が大好きな方々が多いことを実感。日本の文化に興味があり、「日本酒の銘柄をもっと知りたい」と質問される熱心なお客様が何人もおられました。

欧米では、和食とともに「SAKE」がブームで、アメリカ国内にもすでに日本酒メーカーが誕生しているほどなのです。

余談ですが、今年はじめに、ニューヨーク市内の超正統派ユダヤ教徒の人々の暮らす街の酒屋に入ったところ、われわれが日本人だとわかると、「サントリーのウィスキー”響”は最高にうまいね」と、彼らから声をかけてくれたことを思い出しました(”響”もコーシャ認証を取得済)。

黒づくめの服に髭姿で、厳しい戒律を持ち近づきがたい存在だった彼らとの距離が、お酒を通じて一気に縮まった思いがした、忘れられないうれしい体験です。

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今後の課題:日本の地方の優れた伝統食品を世界に

今後の課題としては、ブースに動画や実演展示を導入して、「安全でヘルシーな日本産の食品」「日本人ならではのきめ細かく、手間を惜しまない職人による製造過程」などを、もっと目立つように、具体的かつわかりやすくアピールできればと感じました。

ユダヤ教徒は健康に関心が高く、ナチュラルで体によい食品や、多少高価でも品質の高い食品を求める方々が多いので、たとえば日本酒、焼酎については、日本では「酒は百薬の長」と呼ばれ、ほどよい日本酒の飲酒は体にいいとされることをもっとアピールできれば、さらに多くのバイヤーを引き付けることができるのではないかと思います。

ブースでは「この商品はオーガニックか?」と、たびたび聞かれることがありました。コーシャに加えて、グルテンフリーやGMO(非遺伝子組み換え)、オーガニック認証がそろえば、現在の欧米の食品市場では「鬼に金棒」ですので、連携などを含めて前向きに取り組むべきであろうと思います。

また味噌などの発酵食品や、これまで欧米のコーシャ市場になかった未知の国の新しい商品にはつねに関心を持たれているようで、まだ知られていない日本の地方の優れた伝統食品などを、外国人にもなじみやすい形からもっと数多く紹介できればと思いました。

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コーシャフェストの所見


Wikipediaによると、コーシャフェストは1989年に初めて開催されて以来、年々規模を広げ、昨年は325の企業と6000人以上の参加者を集めたといいます。一般公開はされず、訪問者はメーカー、卸売業者、バイヤー、小売店、メディア関係者、フードブロガーなどプロのみに限られます。

今年のコーシャフェストについて

今年の正確な参加者数はまだ発表されていませんが、公式サイトによると今年の参加企業数は350と昨年を上回り、また日本をはじめ、韓国、インド、イタリア、フィリピン、スリランカなど、ユダヤ教の素地のない国からの初参加も増えたとのことです。

コーシャフェストの会場であるMeadowlands Exposition Centerは、東京ビッグサイトのような大展示場ではなく、意外とこじんまりとしていたのですが、たった2日間の開催にもかかわらず、常連とおぼしき出展者のディスプレイのお金のかけ方には目を見張るものがありました。

それだけこの2日間にビジネスチャンスが舞い込んでくる確率が高い、ということなのでしょうか。あでやかでおいしそうに目立つディスプレイは、さすが「ショービジネス」の国アメリカです。

また1日目は大雨で、オープン時はすいていたものの、午後からたくさんの人が詰めかけ、2日目は終日混雑し、商品を手に取る人々の真剣なまなざしが印象的でした。

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アジア諸国のコーシャ市場進出

他の出展者の中で印象的だったのが、韓国の企業が2社出展していたことです。2016年7月9日付の「The Time of Israel」紙によると、韓国政府は、2020年までに世界市場でハラールは5.2兆ドル、コーシャは2500億ドル規模の急成長を見込めるとして、両ビジネスの援助、拡大に乗り出しているとのこと。

コーシャフェストの韓国パビリオンでは、コーシャ認証を受けたキムチやお米のパスタ、塩などがかなり費用をかけて展示されており、その「本気度」がうかがえました。

韓流ポップスの世界戦略などにも見られるように、国内市場が日本の半分程度の規模しかない韓国は、官民あげて海外に自国商品を売り込むことに敏感です。アメリカでは、スリムで若く見える東洋人とその食品が健康的であると注目されていることに着目して、積極的に打って出ている点が参考になりました。

なお、中国、インドなどのアジアの大国はもっと早い時期からコーシャ・ビジネスに参入しており、スシの需要を見込んだ海苔など、ライバルのいなかった日本食品で認証を受けて大々的に拡販していたり、オーガニックと組み合わせるなど「目ざとい」戦略を繰り広げています。

中国は、汚染食品スキャンダルでのイメージダウン挽回のため、その生産力の高さを武器に米国のコーシャ市場に進出したそうですが、日本食品に関しては、どう見ても日本製の方がはるかに品質が高いので、日本人として惜しいというか、負けてはいられないなという気持ちになりました。

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米国市場をフィールドワーク

また、コーシャフェストの前後に、ニューヨーク市内を含めて何日間か、ざっくりと以下のような米国コーシャ市場のフィールドワークを行なってみました。


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ウォルマート 膨大な商品から安全な食品を選ぶ目印「コーシャ認証」

世界最大のスーパーマーケットチェーンといわれるウォルマート。ニューヨーク郊外にある店舗の敷地面積は広大で、ワンフロアに果てしなく並べられた米国産品、輸入品を含め商品の種類、数のあまりの多さに驚かされます。商品管理が行き届いてこじんまりとした日本のスーパーマーケットに比べると、ある種のカルチャーショックを覚えます。

売り場には、30枚入りで1ドル強という”激安”の食パンから、高級志向の黒毛アンガスビーフまで、あらゆる品質の商品がごっちゃになって売られており、健康によくない添加物や遺伝子組み換え(GMO)食品などがどの商品にどれくらい含まれているのか、ひとつひとつ見分けていくのは困難です。

米国では食品の安全に注意を払う人から、まったく気にしない人まで両極端。それゆえ「意識の高い」消費者が、山積みされた膨大な商品の中から安心できる商品を選ぶため、「コーシャ、オーガニック、グルテンフリー、ノンGMO」といったお墨付きの認証マークが重宝されるのがわかります。


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多様化するニューヨークのコーシャ・レストラン

ニューヨーク市内にはコーシャ認証を受けたレストランがたくさんありますが、それは中東・ユダヤ料理やアメリカ料理にとどまらず、今やイタリア料理やインド料理、日本料理など多岐にわたっています。またジューイッシュ・ジャパニーズといったフュージョン料理も誕生し、食の多様化が進んでいます。

レストランの店先には、コーシャ認証したラビの署名付きの証明書が貼られています。これは消費者が、ラビの経歴や所属する宗派などから信頼度を判断するためです。一般的には正統派や超正統派に属したラビの方が、審査が厳格で信頼度が高いといわれています。

スーパーマーケットのコーシャ認証マークもそうですが、何事も玉石混淆になりがちなアメリカならではの、合理的な”品質”の判別方法といえそうです。

一方ベジタリアン、ビーガンなどは、人々の健康志向に訴え、「ヘルシー」であるのと、コーシャとハラールの両方をクリアして集客が見込める業態でもあるので、顧客へのアピールのため、そう銘打った店が少なくありません。

日本食に関しては、コーシャ・ラーメン、コーシャ・スシといった専門店も。東京オリンピック開催を控えて、食の多様化を目指すべき日本も参考になりそうです。

ニューヨークに進出する意義 山口県の日本酒「獺祭」の軌跡

世界に向けた最先端の流行の発信基地であるニューヨークは、ユダヤ系人口の多い街でもあります。知識階級の富裕層が多くを占め、また「グーグル」や「フェイスブック」などに代表されるように、アメリカはユダヤ系が世界的メディア企業の上層部に多い国でもあるので、ハラールよりコーシャに重きを置かれている感があります。

ニューヨークで成功すれば世界に通用し、ブームは世界に波及するとはよくいったものです。そのような背景をふまえて、山口県の日本酒「獺祭」がたどった軌跡(→旭酒造・桜井和弘様「獺祭日記」~ニューヨークでの試飲会・イベントの様子)を参考に、米国ひいてはニューヨークを足掛かりとして、コーシャ認証取得で戦略的に世界市場を目指すとよいのではないでしょうか。